②腐女子になったきっかけ
①腐女子になったきっかけの続きです。
『え…、これ何?』
表紙を開いて漫画の中身を読み進めていくうちに段々と読むスピードが落ち、ページは途中ながらも一端本を閉じました。
『ボーイズラブ…』
書店で買うと決めた時からなんとなく違和感はあったんです。『公式じゃないよね?…でもキャラのイラストが表紙に描かれているし……?』なんて思いながらも興味本位が強く、購入という一択しかその時の私にはありませんでした。(購入の際母に手渡しして買ってもらいましたが、母は漫画に詳しくないのでBLだと気付かれなかったらしいです。)
本を閉じたまま思考停止後、これは原作者ではなく別の作家が書いたものだとはっきり理解しました。
当時のノンフジョはオタクではなく、沢山ある趣味の中の1つとして漫画を読んでいるような学生でした。しかし頭の片隅にそういうジャンルがあることは知っていました。
なぜ知っていたか…。それは仲のいい友達の中にBLを読んでいる子が居たからです。しかしその子からBLを布教されたことは1度もありませんでした。
友人:『公式の漫画も読むけど…、実はね。……私はBLが好きなんだ』
ノンフジョ:『ん?そうなんだ、好きなものがあるっていいねぇ』
友人:『嫌じゃないの?絶対引かれると思ってた。嫌われると思ってた』
ノンフジョ:『嫌じゃないよ。個人の趣味や好きなものを否定したりしないし、私は友人ちゃんがBLを楽しんでいるなら素敵だと思うよ』
友人からのカミングアウトに不快感はありませんでした。
そのことを思い出し再び同人誌を読んでみました。
『…うん、やっぱり不快感や違和感なんて無い、めちゃくちゃ面白い!』
一コマ一コマ先が楽しみで集中して読みました。
原作では見られないキャラたちの関係性、会話、心情に強く共感出来たんです。
友人にBL好きな子が居るのにどうして私は影響されずにBLを読んでこなかったんだろう。12年間一体何が楽しくて生きてきたんだろう?こんなに素敵なジャンルがあるのに知らなかった自分を殴りたい…。
気分は高揚し、ノンフジョの人生の中で一番興奮した瞬間でした。
世界が輝いて見える、最高過ぎる、もっと読みたい!
でもこれはいわゆる男性キャラ同士の恋愛本、いわゆるBLというもの。
家族にばれてはいけない、同人誌を持っていることを知られたら何か言われるんじゃないか、否定されるんじゃないか、けなされるのではないか…。世間体的に良しとされるジャンルではないことは分かっていました。
そう思ったノンフジョはとりあえずクローゼットの奥深くに同人誌を忍ばせ、鞄や紙袋を上に置いて誰にも見つからないよう隠すことにしました。